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はじめに…
JOSI (ジョジィ)
ブラジル出身 
CM『ゼクシィ』 雑誌『nonno』 広告、PVなど幅広く活躍中。
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短篇.jpについて…
長澤雅彦
(NAGASWA MASAHIKO)

1965年秋田県大館市生れ。早稲田大学政治経済学部卒業後、TVCF制作会社、映画製作会社を経て1993年よりフリー。
1997年有限会社長澤雅彦事務所を設立。
映画・CM等のプロデューサー・企画・脚本・監督を努める。
『ココニイルコト』『13階段』『青空のゆくえ』『夜のピクニック』(06春公開)
――――長澤監督にとって短篇映画というのは自分の中でどういう位置づけなのですか?

長澤 
基本的に、自分は長篇作家だと思っています。劇場用長篇映画の監督あるいは脚本が自分の主なフィールドです。
でも演出を本格的にやるようになって最初の作品が短篇オムニバス作品の『好き』(田中麗奈主演・2000年)でした。
奇しくも今回の企画者である本田昌広監督との共同作業でした。しかも同じくインターネット配信。
で、丁度その前後に『はつ恋』『ココニイルコト』という長篇劇映画を抱えてまして、かなりいろいろ苦しんでました。 だから、短篇映画ってとても楽しかったのを憶えています。
脚本段階では、思いつき一発勝負みたいなところがありますから。
――――長篇脚本は発想ひとつ、というわけにはいかない?

長澤 
いや、もう100個ぐらいの、それこそシーン一個につきひとつぐらいのネタを集めたり伏線を張って鍵をかけて、またそれを解いて、さらに圧縮していく・・みたいな作業が長篇なんで。
でも演出面では、むしろその後に撮った『ココニイルコト』よりも『好き』の方が遥かにキツかった。
今思えば、ですが。短篇をなめるなよ、みたいに言われた感じがあって。
誰に言われたかって、自分に、なんですが(笑)
――――発想がシンプルな分、演出の巧拙が出やすい?

長澤 
全くその通りです。その後も区切り区切りで短篇映画を作ってきました。
『13階段』の後に短めの長篇といっていい『つばさ』があって、短篇集の『shortcakes』。
その後、『青空のゆくえ』という短めの長篇と『夜のピクニック』という長篇劇映画を撮った後に、短篇『birthday girl』そして『shortcakes 2』があるわけです。だから短篇というのは自分にとって、色んな思いをこめて長篇を作った後のクールダウンみたいなものと、次の長篇に向かう前に「自分の演出の“たが”のようなもの」を締め直すためのもの、そういう役割を持っている気がしています。
発想は自由に、シンプルに。演出は細かくあるいは無責任に(笑)、という。
――――無責任って・・・。今回の短篇『birthday girl』はどういう発想だったのですか?

長澤 
(本田さんから)依頼を受けてから、実はしばらく何も思いつかなくて。二つ返事で引き受けたくせに(笑)。
長篇(『夜のピクニック』)の真っ只中だったせいもあると思うんですが。『夜のピクニック』で外したネタをスピンオフさせて何か作るということも出来たかもしれないんですが、なんかそれじゃ本田さんに失礼かな、と。
で、『夜ピク』の撮影が終わった後もしばらく書けなくてですね。参りました。
ただ、実は主演の女の子は『夜ピク』の出演者のひとりに勝手に決めてまして、そのコがちょうどハタチを迎えることになってましてね。あ、これかな、と。
それで「ハタチの誕生日を迎える女の子」が「深夜のファミレスに独りで居る」、そして「最後にほんの小さな奇跡」が起きる、という三つのキーワードが出てきたんです。
――――それは突然?

長澤 
ホントに突然。車の運転中に(笑)。それで慌てて車を停めまして、携帯電話のメモに入れといた。
でも相変わらずぐずぐずしてるうちに、ネタがそのキーワードに吸いよせられるように集まってきて、話がどんどん膨らんで、「あ、やばい、これって長篇じゃん」て(笑)。
――――それでいよいよ脚本の仕上がりが遅れて行く、と。(笑)

長澤 
それで、いやこれじゃまずいよなあと思って、思い切って絞り込むことにしたんです。最初のキーワードだけに。
で、やっと出来た時には予定していたキャストのコのスケジュールが全然取れなくなっちゃって。
でもほとんどそのコで「あて書き」してたので。イメージが・・・。
――――それで、「主演はハーフのコがいい」になるんですか

長澤 
実はそう・・・。あて書きの亡霊に捕らわれて(笑)。本田さんやプロデューサーも最初は意味不明だったと思います。別に純日本人でも何の問題もない話ですから。
――――でも監督には大問題だった、と。それでJOSIさんになったわけですか。

長澤 
オーディションを組む時、キャスティングの中元さんに「ハーフ集めて!」って(笑)意味不明に突っ走って。
その中で断トツに魅力的だったのがJOSIでした。ブラジル人(母親)とのハーフ。ポルトガル語ネイティブの。
――――日本語は大丈夫だったんですか?

長澤 
軽くヤばかった(笑)。でもモノローグの多い話だし、JOSIってすごい努力家なんで。
――――なんとかなるだろう、と?(笑)

長澤 
なんか今までの僕の作品って、女の子が主演だと「たおやかな」日本語で自分や物語を語る、みたいな自己イメージがあったんで、敢てそこを変えようというか、自己パロディにしようというか・・・。
――――割と無責任なんですね。

長澤 
でもほら、今はデジタルが発達してるから、モノローグも良いところだけつまんで繋いじゃえ、っていう。
――――アイドルのCDじゃないんだから。

長澤 
結局そんなことはしないで、フルセンテンスで使いましたけど。でもそういう無責任さというか、敢て完成度を求めない、オーバープロデュースしない、作り込みすぎないというのが短篇の面白さでもあるわけで。 長篇メインの自分としては。
――――決してアイドルというわけじゃないんですが、長澤監督の短篇作品は可愛い子ばっかりですね。田中麗奈さん、相武紗季さん、そして今回のJOSIさん・・・。

長澤 
(笑う)いやまあ、ね。短篇映画って、結構プライベートで自主製作映画の匂いがあるものでしょう?長篇の商業用映画だとどうしてもマーケティング本位にキャスティングが決まる部分が多いわけで。
でも、自主映画って、僕も学生時代に作ってましたけど、どこか「自分が好きな女の子を撮りたい」てって不純な動機から始まってたりして(笑)。
でもそのモチベーションの強さが意外と観る人とかを動かしたりすることもあると思うんですよ。
――――理論的に正当化しようとしてるだけの気もしますが。ま、監督の趣味ということで。

長澤 
いや、キャスティングの中元浩司の趣味、ってことにしといてください(笑)
(おわり)
連続短篇映画『short cakes』 好評配信中
監督:長澤雅彦 主演:相武紗季 製作:ブック株式会社
http://www.bookcafe.jp
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