短篇.jpルーキーズ第1弾、参加監督対談。
『神様の言うとおり』の岡元雄作監督(左)と、
『いちおくまんえん』の片岡翔監督(右)に、企画に参加した感想や制作中の実感を語っていただきました。
岡元監督は、今年2月に第5回エディロールビデオフェスティバルで、『SLAP』がストーリー部門のグランプリを受賞。片岡監督は、今年6月のSHORT SHORTS FESTIVALのストップ!温暖化部門で、『ニタンカサンソ』が入賞しました。お二人とも、丁寧に自主作品を撮り続けています。
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岡元:第1弾のシナリオコンペの時、実は、脚本と一緒に、ある企画を提出しました。全部の話を、ある同一の一日に繋げるのは難しいのではないかと思ったので。
片岡:反則ですね(笑) 人生が変わったかもしれない一日ということですが、僕は、劇的なようで劇的ではない話がいいなと思いました。わかりやすく、宝くじをテーマに…当たったから幸せではなく、当たらなかったから幸せ、という図式です。
岡元:6話を繋げるために、他の合格した脚本を読ませてもらったのですが、どれもシチュエーションが違う。これに普通の人間を登場させるのは難しいから、何度も相談をしました。それで、神様を登場させるのはどうかと提案したら、プロデューサーも賛成してくれて。神様なんだけど、やはり人間を感じるドラマにしたいという共通の認識があって、その神様は実は、神様を辞めたいと感じているという設定にたどりつきました。
片岡:なるほど。そういう経緯があったのですね。普通の人間ではないけれど、単なるファンタジーでもないとは感じます。
岡元:最初は、男女の神様だったのですが、プロデューサーから二人の女性にしたらどうかと提案されて、書き直すとすんなりと書き出すことができました。男女だとどうしても恋愛感情とかに縛られてしまって。
片岡:他の話でも恋愛ものが多いですから…
岡元:身の丈で書きやすいのかもしれないですけど。
片岡:どうして、日本のショートフィルムは恋愛ものが多いのでしょうか? 僕はあまり撮りたくないです。海外の秀作はほとんどないですね。恋愛もの。
岡元:僕もほとんどないですね。片岡さんは、こどもをよく描きますね?
片岡:なんでですかね~僕自身がこども、なんでしょうね。こどもって、面白いですからね。映画の中ではなくても、現実的にも。見ているとなんだか、面白い。現場では大変ですけれど。
岡元:こどもの演出は難しいでしょう?
片岡:まあ、言葉が通じないので、動物のような感じでというのは言い過ぎですが、その子の状態によって放し飼いにするというか…虎太郎役:安田蓮くんとは楽しめました。編集では、繋がりに苦労しました。顔の位置とか、手の位置とか、こどもだから動きまくって、なかなか繋がらない。
岡元:片岡さんの話に、僕の登場人物をリンクさせるのは、わりと楽でしたけど。影響はありませんでしたか?
片岡:そうですね。たぶん、ここしかないだろうというキャラクターは脚本に入れていました。
岡元:助かりました。しかし、「いちおくまんえん」はタイトルがいいですね!
片岡:僕は、タイトルから考えることが多いです。
岡元:コンセプトを最初に明解にするということですね。
片岡:はい。シナリオを書く前に、きっちり考えます。脚本が決まってから、キャストを探すのが始まりますが、最近はmixiとかでも声をかけて集められますし、子役が1000名くらいが登録しているサイトがあるのですが、そこで見つけて、面接しました。
岡元:お、今度教えてくださいよぉ。井手らっきょさんは?
片岡:タカハシカナコさんという母親役を、当て書きをしていたのですが、彼女が井手さんの劇団に所属している関係で、直接、話に行きました。ご本人からOKをいただいてしまったせいか(笑)、オフィス北野さんもこのような小さなプロジェクトにもたいへん好意的でした。
岡元:大胆ですねぇ。「神様の言うとおり」と撮影が同じ日でしたよね? 小阪由佳さんがこちらの現場を夕方出るという日程で。
片岡:そうでしたね。綱渡り。小阪さんは2~3カットでしたが、井手さんにも「出し」があったので。
岡元:神様役の小阪由佳さんはちょっと茶目っ気のあるキャラクター、側近役の国分佐智子さんは、母性を感じるキャラクター、うまくはまった気がします。お二人は別の作品でも共演されていたせいか、とてもテンポがよかったです。ぎりぎりで小阪さんの撮影を終えて、なんとか片岡組に送り出せて、ほっとしました。こういう訓練も必要かもしれませんね。
片岡:集中力とか、事前の演出設計とか、ほんとうに大切だと感じました。
岡元:自主映画の時には、わりとリハーサルをしますから…
片岡:こどもの場合、事前のリハーサルや練習が災いすることもありますよね。リハの前に親がセリフを教え込んでしまったり。ちょっとした言葉のニュアンスなんかも、親が教えたとおりに染み込んでしまっていていて、なかなか変えられないことがあったり、苦労しました。
岡元:僕はカット割もかなり綿密にコンテに書いたのですが、撮影監督の小林元基さんに相談しつつ、現場で大幅に改訂してもらいました。むしろ、それがよかったと思います。現場で、プロの女優さんが演じた時に、コンテは無力かもしれません。今回は、小林さんに画づくりを託して、僕は演出に集中できました。あとは、小道具のリモコンをつくったくらいです。扇風機のリモコンを改造して。ロケハンは苦労しました。シーンごとに移動するのは難しいので、とにかく安いハウススタジオを探し出して、同じスタジオの和室を利用して回想シーンを撮ったり、効率的にできました。
片岡:僕も父親の家を無償で借りて、小道具はネットオークションを利用して安く手に入れたり、弟に宝くじのデザインをしてもらったり、手作り感覚でした。
岡元さんは、他の5人の監督の撮った画を使わないといけない、仕上げは大変ではなかったですか?
岡元:自分で言い出したことなので(笑)それぞれのフォーマットが違うので、HDとかSDとか、ルックや画質を違和感ないように合わせるのに時間がかかりました。
なんとか、商品になっても、クリアしているのではないかと…今はかなりよくなりましたが、当時のClipLifeの画質だとあまり細かい部分が伝わりにくかったかもしれません。
片岡:違和感なかったですよ。DVDで観てもらえると、ディテールもわかるので、ぜひ大画面で観て欲しいです。
岡元:「神様の言うとおり」の後、少しずつ劇場映画のメイキングのディレクターの仕事が来たりしています。プロの現場を見る事ができるので、とても勉強になります。助監督の経験がないので。その合間に、自主映画も製作中です。
片岡:この経験は自主映画を撮る際に反響が違いますね。作品がDVDになっているので、キャストやスタッフを集める時に、今までとは反応が違います。僕は、たくさんシナリオを書いたり、自主映画を撮り続けていたります。今回のショートショートフェスティバルで、外国の短篇映画を大量に観ることができたののも、刺激になっています。恋愛ものや私小説ものは評価されにくいですし、評価の高いのは概ね10分以内ですね。まだまだ、書くべきもの、撮るべきものがたくさんあると感じています。
岡元:短篇.jpの企画は、作品を世の中に出せる喜びもあるのですが、こうやって、監督たちと横の連携や情報交換ができるのも、うれしいです。自主映画を続けていくと、なんだか閉じていく感じがして。映画祭で挨拶するくらいですから…
(了)