『バリガー』(その2)
ロケハンで苦しんだのは、やはり小人の家だった。当初、監督はセットを組む事を希望していた。ひろみ役のマメ山田さんを合成でさらに小さくすると。美術部とも相談の結果やはり予算を考えるとセットは難しい。ミニチュアで合成する方法かロケセットでの撮影のどちらかの方法を検討する事になった。正直にいうと私はまったくロケハンのあても、発想も浮かんでこなかった。①小人の家②東京タワーの見える部屋③小人が出てくるトンネル。。。予算や時間を考えると、いや予算があったとしてもどっから探せばいいのかわからなかった。自分の発想の貧困さにへこんでしまう。監督とのコミュニケーションもうまく取れない。
そんな時、ラインプロデューサーより某都内の洞窟を小人の部屋にしてみては?とアイデアをもらい、監督と二人ロケハンに出かけるも、撮影許可がどうしても降りなかった。その洞窟を監督はいたく気に入り大喜び。でも撮影は出来ない。小人って東京の何処に住んでいるのだろう?その夜、監督からこのままではなんですから、話しましょうと飲みに行った。あーでもこーでもないと、色んな話をお酒の力をかりながら話した。この企画の醍醐味は少人数での撮影の為、監督ともざっくばらんに話が出来る。その夜も今までのコミュニケーションを埋める以上に有意義な話し合いだったと思った。けども、小人の家はどんな所なのだろう?自分の引き出しの少なさに、困ってしまった。
マンホールの遊び場のある公園、子供の玩具用の家、、、天井の低いトンネル、ツタのからまる屋上、、、そして何よりも24時間での撮影可能な撮影場所が必要だった。
うーん困った時には、、、師匠に聞いてみたところ、埼玉県の吉見百穴を教えてもらった。
百穴?インターネットで調べると穴だらけの山を発見!これだー!けど埼玉だー。移動時間はもったいない、、、。監督に電話してみると、是非行って見てきてくれとの事。こりゃーもうココで撮影するしかない。
(その3へ続く)