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『初恋のてんまつ』(その3)

2月19日。寒い一日になりそうでした。予報は雨でしたが、降って欲しくなかった。ほぼ一日中オープンのロケ地を移動していく設定。まして、14才の「駆け落ち」です。悲惨なフィルムにはしたくなかったのです。
撮影を始めて、スタッフ一同が眼を見張ったのは、奈津役:夏生さちの演技です。本読みから中1日、激変していました。緊張がとけたのか、現場にも馴染んで、冗談すら言うように。10代の柔軟な感受性を感じました。
永田監督と撮影:福本淳、照明:市川徳充は岩井俊二監督のクルーとして育ちました。息も合っています。撮影は、順調に進んで行きますが、犬のシーンで難航。なかなか犬が言うことを聞いてくれません。押していく香盤表、下がっていく気温。なにしろ、2月の深夜です。寒い。しかし、隆史役:落合扶樹は元気です。若い。撮影そのものを楽しんでいるようです。キャストたちのエネルギーはスタッフにも伝わります。天にも届いたのか、予報は外れてくれ、雨は降りませんでした。
最終シーンは、トンネルの中の、もっともデリケートなシーンです。撮影開始は午前5時ちかく、夜が空けてしまうのではないかと慌てます。しかし、すっかり奈津と隆史になった二人は、見事に演じきりました。OKが出て、撤収を始めるころには、美しい朝日が昇り、冷えきった身体を暖めてくれました。かなり疲労しているはずの二人ですが、最後まで元気、最後まで冗談と笑い声が絶えませんでした。
ほんとうに素晴らしい一日でした。監督、キャスト、スタッフのみなさま、ありがとうございました。(了)