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『世界でいちばん身体にいいこと』(その2)

脚本が解決した頃には、制作:金子敏之と氏家大からロケハンリストが上がっていました。カフェや室内シーンのロケ交渉で脚本の内容を説明する時、特殊なセリフの応酬です。説明が難しかった(気恥ずかしかった?)かもしれません。
キャスティング:松本美敏は悩んでいました。登場人物は9名、しかも低予算。俳優部の協力無しでは成立しません。スタイリスト:吉野耀脩も大変です。自動的に衣装の数が増えるからです。二人とも奔走、なんとか衣装合わせと本読みにこぎつけました。その場所は京橋の映画美学校。築数十年のビルです。そのテイストを本田監督も撮影:松永高寛も気に入ったとかで、決まっていなかった室内2シーンのロケ場所に決定。うち1シーンは真俯瞰とクローズアップで、ライティングを変えて、同じ部屋を利用するとのこと。低予算+時間制限のある作品では、移動時間を増やすより、撮影と演出に集中できる方が効果的です。
脚本が完成した時に、すでに音楽が決まっているという希有な作品でもありました。脚本:古川裕也の指定曲は『ラヴェル弦楽四重奏曲2楽章』。演奏が困難で知られる名曲です。また、音楽ソフトによる「打ち込み」での再現も至難とか。「N響クラス」の腕前の演奏家で録音する音楽費はありません…しかし、音楽:茂野雅道はやってのけました。その方法は企業秘密だそうです。本編でお確かめください。
(その3へ続く)