『宇宙のはじまりとおわり』(その2)
矢部監督の実況映像配信プランは、将来的に活かせる可能性大でしたが、サイトの実態も見えてなかったので、残念ながら封印。とても面白いアイデアなので、いつの日にか実現したいものです。
監督は旧知の脚本:及川章太郎を招聘。矢部プランのある高校生の一晩の話を咀嚼、プロットを再構成していきました。第一稿は、淡々とした二人の会話に、あるクレジットが入るという独特なものでした。『宇宙戦争』にヒントを得たという企画でしたが、打ち合わせを重ねるなかで、変化していきます。最終的には、矢部監督が加筆、「高校生」と「The日活」の文体がぶつかるところを実験することになりました。脚本とキャスティングは同時進行。隆三役:宍戸錠をイメージしながら執筆したそうです。宍戸事務所へは監督自ら打診、日活繋がりのためか(?)快諾をいただきました。奈緒役:前田綾花、景太役:奥村知史、そして菜穂子役:風祭ゆきも監督念願のキャストです。
製作的な問題は全篇ナイトシーンであること。想定しているシーン数は日没から夜明けまでに撮りきれないと判断、隆三と奈緒子のシーンは「ツブシ」という手法をとることになりました。疑似夜景です。撮影:村石直人はロケハン時にテスト撮影をして、監督も納得。二組のカップルは、文体も画質もすれ違うという解釈です。
(その3へ続く)