『世界でいちばん身体にいいこと』(その1)
『世界でいちばん身体にいいこと』
脚本:古川裕也 監督:本田昌広
撮影日 2005/11/27
クランクイン 8:00@田園調布駅前
クランクアップ 20:00@映画美学校
監督:本田昌広はCMディレクターですが、『バカヤロー2』『良いおっぱい悪いおっぱい』等の劇場映画やPVなども経験しています。脚本:古川裕也は某広告代理店のクリエイティブディレクターでもあり、作詞やTBS『大帝国劇場』などのTV番組の企画やシナリオを手がけてもいます。異業種の二人らしく、企画開発は、「映画的」ではありませんでした。ネット配信のショートフィルムを前提に、いろんな可能性が探られていきます。本田監督が第1話を担当した日本初のネット配信オムニバス映画『クリックシネマ・好き』(第3話・脚本:長澤雅彦)は、600万回以上のアクセスを記録。実はこの感触から、『短篇jp』の原型になる企画は生まれたそうです。
最初のプロットは、衝撃的でした。面白いけれど、この予算では実現不可能。企画はネットの短篇ならではでした。「ペダンティックなエロもの」8話全体のバランスを考えて、映画的なことよりもコントに近いものがあった方がオムニバスとしてはいいだろう、という判断です。しかし、断念。再度書いたプロットも大胆な「懺悔もの」、これも諸事情ありで企画変更。どんどんリミットが近づいてきます。慌てた本田監督が古川CM作品オマージュ風のリメイク版を書きますが、これも移動箇所と登場人物の多さに製作部NG。シリーズの企画者でありながら、ルールを忘れた脚本を書くことは許しがたい行為です(笑)
ぎりぎりのタイミングであがったのが、本稿です。ネット視聴は、観る人に「降りる」権利があります。映画館で観てもらう感覚でつくると、すぐにカットされてしまうという傾向があるようです。ブラウザの大きさと画面との距離感を考えて、連鎖性のある企画が採択されました。
(その2へ続く)