『W A I T E R』(その1)
『W A I T E R』
監督・脚本:日向朝子
撮影日 2005/10/31
クランクイン8:00@下北沢cafe use
クランクアップ22:00@下北沢
数年前、ある大学の映画コースの卒業制作が、映像業界で話題になったことがあります。某撮影監督のお嬢さんが撮影したフィルムのことです。その卒業制作の監督が日向朝子・当時22才。その後、忘れてしまっていたのですが、このシリーズのために若手監督を調査中に、偶然、日向監督の個人サイトを発見しました。その他の作品を観たくて、某撮影監督へ連絡。しばらくして1枚のDVDが送られてきました。掌編集を一気に観て、即座に依頼。
最初の打ち合わせは、小さな声で、ぽつぽつと始まりました。このサイトの趣旨には賛同してくださり、プロットを待つことに。プロジェクトに参加している長澤雅彦監督(「青空のゆくえ」の共同脚本)や筧昌也監督(大学で一年違い)との接点が、功を奏したかもしれません。すぐに送られてきたのは、「誕生日」。小さく可愛いらしい物語でした。まだディテールが薄く、さらに書き込んでもらった脚本をもとに、打ち合わせ。一日で撮影するためには、かなりのシーンを削っていかねばならないことが判明。監督はあと1週間ほど再考したいとのこと。
次の週、メールに添付されていたのは、まったく違う物語でした。「バレンタインデー」。それが、本短篇の骨子でした。驚きました。ナイーブなディテールが散りばめられていて、しっとりとしたフィルムが見えてきます。同時にキャスト候補も提案され、平行して第2稿へと発展します。ある日、スタッフィングの相談をされました。冒頭の某撮影監督こと:中堀正夫の名前が… きっかけになった巨匠です。面識があったので、さっそく趣旨をご説明しました。快諾。問題は超多忙ゆえスケジュール調整だけです。実相寺昭雄監督の『ユメ十夜』の撮影中に、監督単独でスタジオへ企画意図説明へ。文字通り、リアルに親と子の年齢差のある監督とカメラマンの共同作業が始まりました。(その2へ続く)