『世田谷リンダちゃん』(その1)
『世田谷リンダちゃん』
監督・脚本:タナダユキ
撮影日 2005/9/1
クランクイン 8:00@浅草いろは商店街
クランクアップ 20:00@浅草いろは商店街
「私が映画を撮れなくなっても、世の中から忘れられても、誰も困らない。だから撮り続けたい。」初対面の日、29才の新鋭タナダユキ監督は言いました。2001年に初監督作品『モル』で、ぴあフィルムフェスティバルのグランプリを受賞。その後『タカダワタル的』『月とチェリー』などの話題作で期待されている監督です。周辺情報でも、次回作の脚本を執筆中で、忙しいとのこと。ちょっと意外な言葉でした。
映画監督はおおむね会社員ではなく、フリーランスです。誰にも束縛されず、誰にも支援してもらえない。監督を職業として選んだ以上、撮り続けなければ、生きていけない。自力で映画をつくった凄みを感じました。『モル』は自主映画ですから、監督がプロデューサーのようなものです。しかも、脚本と主演も兼務しながら、完成させています。
DV機材の発達と廉価な編集・音楽ソフトで、いきなり映画監督になってしまう世代が登場しつつあります。資金調達して、DVとファイナルカットを駆使すれば、映画監督の誕生です。その作品をどう公開・商品化していくかという関門がありますが、いちばん難しいのは2本目の映画を撮ることでしょう。
「撮り続けたい。だから、やります。」全部自分の力で映画をつくったことのある経験は強いです。そして、デビュー後の作品で、業界屈指のプロデューサーたちに育てられたことも力になっているのではないでしょうか。この悪条件たっぷりの依頼も、にやり、と引き受けてくれました。
(その2へ続く)