『大安吉日』(その1)
『大安吉日』
監督:矢崎仁司 脚本:狗飼恭子+矢崎仁司
撮影日 2005/9/16
クランクイン 7:00@新宿西口
クランクアップ 翌7:00@お台場
矢崎仁司監督は、寡作の巨匠です。2000年公開の4時間に及ぶ大作『花を摘む少女と虫を殺す少女』以来、昨年の春、魚喃キリコ原作の『ストロベリーショートケイクス』をクランクアップした情報がありました。脚本は作家の狗飼恭子。この組み合わせは気になります。たった一つのコネクションを辿り、あっけなくも会ってくださることになりました。しかし、なにしろ、寡作の巨匠です。気難しい人に違いありません。
『風たちの午後』が1980年、『三月のライオン』が1992年、『花を摘む少女と虫を殺す少女』が2000年…大切に丁寧に映画を撮ってこられた監督です。そんな監督に、低予算・インターネット配信・撮影1日・DV撮影・10分の短篇を依頼するのは、暴挙だし、失礼だという声もありました。
案の定、「僕は短篇映画を撮ったことがありません」と矢崎監督。やっぱり、駄目かなぁと思いつつも、このシリーズの企画意図を話し続けました。そして、
矢崎監督が上映会で話した言葉に共感したことを思い出しました。『映画という表現が生まれて、ほんの100年ちょっとです。文学や音楽の歴史に比べれば、まだ黎明期。何をやってもいいんです』そのことを話すと、「そんなこと言ってました?」どうやら、気難しい人ではないようです。
前述のたったひとつのコネとは、撮影:石井勲。『風たちの午後』『三月のライオン』を撮影しています。彼も同席してくれていて、その援護射撃も効いたのか、「むしろ、いい機会だと思います」と監督。
(その2へ続く)